参照元: 加害者の処罰と損害賠償の関係は|みどり総合法律事務所
Q. お金のことだけでなく、事故の加害者を、きちんと罰してもらいたいと思っています。もし損害賠償を受け取ってしまったら、処罰はなく、それで終わりになるのでしょうか?
A. 交通事故においては、「賠償金の支払いを受けること」と「示談」がワンセットと考えられていることが多いようです。つまり、加害者からお金を受け取ると、それで事故に関しては終わり――あとは、お互いにこれまで通りの日常に戻っていく、という感じです。
処罰を求める場合にはどうするべきか
もし賠償金を支払ってもらうだけでは納得できない場合には、被害者としてその部分に対して、はっきりとした態度を取らなければなりません。損害賠償を支払ってもらうことと示談で相手を許すことを、別に考えて対応するのです。では、具体的にはどうするか…。
まず、示談書の書面の形式によく注意しなければならないでしょう。実務では、損害賠償の支払いの際には、その金額を記載した書面と示談書が一緒にされていることが多いです。その書類をよく見てください。必ず「宥恕条項」が設けられているはずです。宥恕(ゆうじょ)とは、簡単にいえば「許す」ということ。事故の示談書には、「賠償金を受け取ると同時に加害者を許して、罪に問うつもりはない」という意味の文が盛り込まれています。
もし、あなたが被害者として加害者への処罰感情が強く、損害賠償の支払いと示談だけでは許せないというなら、宥恕は別にしてもらうべきです。しかし実際には、もし事故を起こした加害者がその罪によって身体的拘束を受けている場合や、親族が示談を切望しているという場合には、被害者側の「許せない」という思いを通すのは難しい現実があります。
交通事故の後の紛争は、どうしても感情だけでは通用しない現実的な部分があります。もし重大な事故を起こしたとしても、それが故意ではなく、過失であった場合は、全面的に加害者が悪いとは言い切れない部分があり、「法」もまたそのような態度を取っています。
しかし、弁護士に「自分は許せないと思っている」と相談してみることには、意味があるかもしれません。損害賠償金の受け取りと示談、宥恕を別にしたいという思いも話してみましょう。その事故の具体的なケースによっては、何らかの方法があるかもしれません。
まとめ
- 示談書には「宥恕条項」が盛り込まれており、サインして賠償金を受け取ると、被害者からはそれ以上の処罰を求めることはできない。