参照元: 損害賠償責任を負うのは誰?|無料で交通事故の法律相談ができる横浜の弁護士
いいえ。事故の加害者だけでなく、「加害者の使用者」(つまり加害者を雇用する会社など)、「運転供用者」(レンタカーの貸主など)も損害賠償責任が問われる場合があります。
以下、順番に説明していきましょう。
事故を起こした「加害者」
事故の加害者は当然、賠償責任を負うことになります。
もし事故によって加害者が死亡した場合には、その損害賠償の相続人が賠償責任を負うことになります。あるいは、加害者が11歳~12歳未満で、責任能力無しという場合は、その監督義務者である両親が損害賠償を負います。
仮に未成年者に責任能力がある場合も、監督者である両親に過失があり、それによって交通事故が起きたと認定された際には、監督者である両親も賠償責任を負います。
加害者の「使用者」
事故の加害者の使用者、すなわち、その従業員を雇っている会社も、賠償責任を負うケースがあります。民法715条には「ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について、第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。」とあり、つまり、会社の業務を行っているときに従業員が事故を起こしたときには、その会社も賠償責任を負うのです。
「運行供与者」
加害者に車を貸すなどした運転供用者もまた、賠償責任を負うケースがあります。自賠法3条で、「自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によって他人の生命または身体を害したときは、これによって生じた損害を賠償する責に任ずる。」という定めがあるのです。
「自己のために自動車を運行の用に供する者」とは、一体どのような者かということですが、一般的には「運転支配」「運転利益」を有する者とされており、“運転供用者に当たる可能性がある者”は、具体的には次の通りです。
・レンタカーの貸主
・代行運転者
・車の保有者
・他人に貸した車の所有者
また、「運転支配」「運転利益」を有するも、“運転供用者にあたらないとされる者”もあります。たとえば、車両のリース会社や、所有権留保特約付きの売買の売主、盗難された車の所有者などがそうです。一般的に、これらの者は事故に対する賠償責任を負うことはありません。
まとめ
- 事故の賠償責任を負うのは、必ずしも加害者だけではない。
- 加害者の「使用者」、つまり業務のために従業員に車を使わせている会社も、賠償責任を負うことがある。
- 「運転支配」「運転利益」を有する「運転供用者」も、賠償責任を負うことがある。