参照元: 交通事故の民事手続について教えて?|無料で交通事故の法律相談ができる横浜の弁護士
交通事故の加害者は、行政上、刑事上、民事上の3種類の責任を負います。
これらはすべて独立して取り扱われる責任であり、それぞれ、事故直後から同時並列で進行します。
「行政上の責任」とは
まず「行政上の責任」ですが、これは道路交通法に基づいて行われる処分のことです。
すなわち、「反則金の支払い」や「免許の停止・取消」などのことです。これはあくまで行政上の処分なので、刑罰ではなく、従って(よく誤解されますが)反則金は「罰金」ではありません。よって、反則金を科せられても、交通事故で前科がつくことはありません。
こういった行政処分を行うのは、行政庁である公安委員会です。もしその処分に不満がある場合には、行政不服審査法に基づいて、異議申立を行うことも可能です。異議申立については、処分があったことを知った日の翌日から起算し、60日以内に、書面によって行います。また、異議申立はせず、処分の取消を求めて行政訴訟を提起することも可能です。
「刑事上の責任」とは
交通事故によって被害者を死傷させてしまったケースでは、刑法、あるいは道路交通法に基づいて、加害者に刑罰が科されます。これを「刑事上の責任」と言います。通常は、「自動車運転過失致死傷罪」で、7年以下の懲役、禁固または100万円以下の罰金、過料です。
なお、交通事故を起こしても、被害者がおらず、物損事故という場合には、通常、道路交通法違反のみの扱いとなり、刑法上の責任が課されることはありません。
「民事上の責任」とは
交通事故の加害者は、事故によって他人に与えた損害について賠償しなければなりません。これを「民事上の責任」と言います。損害には二種類あり、人身損害、物的損害について加害者は賠償の責任があります。さらに人身損害については、「財産的損害」と「精神的損害」があり、また、「財産的損害」には「積極損害」と「消極損害」の二つがあります。
具体的な手続きはどうなっていくかといえば、通常は、<事故の発生→損害の確定→示談交渉>という流れになります。このあたりは、任意保険に加入していれば、保険会社が代行してくれる部分です。しかし示談交渉において、もし双方が合意には至らなかった場合には、裁判になることもあります。
まとめ
- 事故の加害者は「行政上の責任」と「刑事上の責任」と「民事上の責任」を負う。
- 「行政上の責任」とは、道路交通法に基づいて科される反則金の支払いや免許の停止・取消などのこと。
- 「刑事上の責任」とは、刑法または道路交通法によって科される刑罰のこと。
- 「民事上の責任」とは、被害者に与えた損害に対する賠償のこと。