参照元: 滞納家賃を取り立てたい - 鎌倉の弁護士 鎌倉総合法律事務所
家賃滞納者には、まずは、口頭で請求します。それでも支払わない場合には、内容証明郵便で請求、連帯保証人に送付する方法も考えられます。多くの滞納者は「正式な書面での請求」に心理的なプレッシャーを感じ、ここで支払おうとします。しかし、それでも何ら態度を変えない借主に対して、借主は法的手段に出て家賃を取り立てることも可能です。
目次
まずは内容証明郵便から
滞納家賃を口頭で請求しても支払おうとしない借主には、まず、配達証明つきの内容証明郵便を送付するところから本格的に取り立てていきます。最終的には「訴訟」まであり得ますが、内容証明付き郵便もたいへん有効な方法なので、一度試してみてください。
本人への内容証明郵便、連帯保証人への内容証明郵便
配達証明つきの内容証明郵便は、滞納常習者に対しても意外に大きな威力を発揮します。
というのもこれは、郵便局が、「いつ、誰が誰にどのような内容の手紙を送り、それがいつ相手に届いたか」ということを証明してくれる郵便です。つまり、「そんなものは請求されていません」という相手の反論を封じることができるのです。正式な書面で請求することで、家賃滞納が当然で常習になっている相手に、心理的なプレッシャーも与えられます。
また、借主の連帯保証人に対して内容証明郵便を送付する方法も効果的です。連帯保証人が支払ってくる場合もあれば、さすがに連帯保証人になってくれた人に迷惑はかけられないという思いで、借主が態度を変え、自ら滞納分を支払ってくることもあります。
滞納家賃を取り立てる法的手段
それでも家賃を支払わない借主に対しては、法的手段で取り立てる方法も考えられます。
家賃滞納者に対する法的手段には、「支払督促」「少額提訴」「通常訴訟」の三種類があります。これらを用いて、強制執行のために必要な「債務名義」を取得し、最終的に借主は貸主の財産に対して、差し押さえを行うことができます。
それぞれの方法の詳細は、次の通りです。
支払督促手続
債権者(この場合では部屋の貸主)の申立てによって、その主張が正当であると認められたとき、また債務者(借主)から二週間以内に異議申し立てがなければ、裁判所は支払督促に仮執行宣言を付します。これに基づいて、貸主は「強制執行」の申立てができます。
少額提訴
民事訴訟のうち、60万円以下の金銭の支払いを求める訴えについて、簡易裁判所で紛争解決を図る手続のことを、少額訴訟といいます。原則として、一回の審理で解決を目指します。法定では、裁判官と当事者同士が、円いテーブルに着席して、審理を進めます。少額裁判の中で、貸主が態度を変え、貸主も許せば、「和解」の形でまとめることも可能です。
通常訴訟
支払督促や少額訴訟と比べると、費用も期間もかかり、負担の大きい方法ですが、借主の滞納額が60万円を超える場合などに使える方法で、裁判所の判決を得ることで強制執行が可能です。また少額訴訟と同様、裁判の中で和解もできるので、借主が「支払います」と態度を変えれば、和解することもできます。しかし一般的に、通常訴訟まで発展するケースでは、貸主は、家賃滞納の請求に加え、長期間の賃料不払いを理由に信頼関係が壊れたとして、賃貸借契約の解除、賃貸不動産の明け渡しまで請求することが多いです。