参照元: 隣にマンションが建つことになって日当たりが心配ですが、どうしたらいいですか - 京都はるか法律事務所
日当たりを受ける権利のことを、「日照権」と言います。隣にマンションが建つ影響によって、これまでのような日当たりが失われ、日陰になる場合、日照権が侵害されているのではないか、という問題が生じます。
建築基準法の規制
日照権は、建築基準法による規制によって保護されています。
この規制とは、具体的には、建物を建てるときの建蔽率と容積率による制限です。建蔽率とは敷地面積に対する建築物の建築面積の割合のことで、たとえば100坪の土地に建蔽率50%という決まりがあると、その敷地には50坪までしか建物を建てることができません。
容積率とは、建物の敷地面積に対する、建築物の延べ面積の割合です。たとえば100坪の土地に容積率70%という決まりがあると、総床面積を合わせて、70坪までの建物しか建てることができません。
建蔽率と容積率は、用途地域ごとに決まりがあります。必ずしも日照を保護するためのルールというわけではありませんが、建蔽率と容積率によって建物の「規模」が制限されることになるので、結果的に付近住民の日照も守られることになります。
また建築基準法では、高さに関する制限もあります。建蔽率や容積率などと共に、この赤さ制限や、関連するその他の制限を調べることもできるので、新しく建てられるマンションがそれに違反していないか、調べてみるといいでしょう(わからない場合には弁護士に相談してください)。もし違反している場合は、工事を差し止められる可能性があります。
日照権による保護
新しく建てられるマンションが建築基準法の制限には違反していないとしても、実際に日当たりが悪くなる場合には、「日照権」を訴え、建築をやめさせられる可能性があります。
しかし、これはあくまで可能性の話です。実際に日照権の侵害を認めさせるためには、「受忍限度」が問題となってきます。普通の人であれば我慢の限度を超えている、という「受忍限度」を認めてもらうためには、それを証明する数多くの証拠や根拠が必要とされます。
もし日照権が侵害されていると認められると、工事を差し止められるか、あるいは失われた日照に対する損害賠償が請求できる可能性もあります。しかし裁判で建築工事の差し止めや損害賠償請求を認めてもらうのは、かなり難しいことです。そこで現実的には、建設業者と協議したり、行政から業者に対して指導してもらう、という対応が考えられます。
まとめ
- 日当たりを受ける権利は、建築基準法の規制と、日照権によって守られている。
- 建築基準法の規制に違反した建物の建築は、差し止められる可能性がある。
- 日照権を侵害する建物の建築は差し止められる可能性があるが、現実には難しい。