境界のトラブルは、よく法律事務所に持ち込まれる住宅問題のご相談の一つです。所有権、地番などなど、そのケースは様々ですが――まず、境界のトラブルを解決するためには、問題となっているのがどのような意味での境界なのか、それを明確にする必要があります。
目次
二つある境界の種類
一般的に土地の境界には、二つの種類があります。
一つは、「公法上の境界」というものです。これは、登記所に一つの土地として登記された土地の地図上の範囲を画する区分線のことです。もう一つは、「私法上の境界」。これは隣接する土地の所有権の境目のことであり、両者は必ずしも一致するものではありません。
「公法上の境界」のトラブル対処法
隣地と「公法上の境界」について言い争う点がある場合――これは、課税の単位や基準になるものなので、まさか当事者の間で勝手に変更することはできません。これについてトラブルが生じており、境界をはっきりさせたい場合には、隣地の所有者に対して「境界確定訴訟」というものを提起して、裁判所から公的な判断を示してもらう必要があります。
「私法上の境界」のトラブル対処法
対して、「私法上の境界」に関しては、当事者間の合意によって、自由に決めることができます。あえて裁判にする必要もありません。ただし、話し合いがまとまったら、合意に至った内容について「境界協定書」を作成し、後の紛争に備えておくのが一般的でしょう。
5つある境界紛争解決の制度
実にしばしばある境界紛争を解決するために、その種類により、5つの制度があります。
公法上の境界を定める制度
1)境界確定訴訟
2)筆界特定制度
私法上の境界を定める制度
3)所有権確認訴訟
4)民事調停
5)土地家屋調査士会の境界問題相談センター
どのような解決方法を取るかにあたり、まず判断しなければならないのは、やはり最初にも述べた通り、争われているのが公法上の境界か、私法上の境界かというところです。そして、当事者間協議による解決はできないのか、本当に裁判にしなければならないのかを判断します。訴訟になると、相応の費用がかかることも考慮しなければならないでしょう。
まとめ
- 境界の種類には「公法上の境界」と「私法上の境界」の二種類がある。
- 「公法上の境界」は、当事者間同士で決めることができない。これについて隣地と言い争うところがある場合には、裁判所に公的な判断を示してもらう必要がある。
- 「私法上の境界」は当事者間同士で決定できるが、どのような話し合いについて合意したのか、その内容を「境界協定書」として書面にまとめ、後の紛争に備える必要がある。