参照元: 夫の自殺は過労が原因かもしれません|みどり総合法律事務所
Q. 主人が自殺してしまいました。私も度々相談を受けていたのですが、職場での過労が原因となっていると思われます。勤務していた会社には、どう請求すればいいでしょうか?
A. 家族が過労死したり、過労を原因として自殺したりした場合には、まず、とにかくその分野に強い弁護士を探してください。個人での対応には、様々な意味で限界があります。
過労死の責任を会社に問う難しさ
過労死の原因が、本当に業務にあったのかどうか――「相当因果関係」を認定させるのは非常に難しいです。会社側に明らかな安全配慮義務違反がある場合は、後の責任追及、損害賠償請求もスムーズですが、一般的には、なかなかそのように話は簡単に進みません。
というのも、ご本人が亡くなっているので、「本当に過労が原因だったのかどうか」が判然とせず、「証拠」がない場合は特に、その因果関係について言い争う余地が大きいのです。
もし、会社が安全配慮義務に違反した結果として、労災、過労死が発生した場合には、使用者側である会社は「債務不履行責任」を負います。そして、過労死した従業員のご遺族は、その原因を作った会社に対して、被ったすべての損害に対する賠償請求が可能です。
過労死の損害賠償請求の注意点
安全配慮義務違反によって従業員が怪我をしたり、死亡したりした場合の損害賠償請求には、期限があります。損害を被った時から、10年まで。これを超えると時効にかかり、請求できなくなります。それでなくても労災事件に関しては、時間が経過するとその損害の「証拠」が散逸しがちで、会社への責任追及が難しくなります。早めの行動が大事です。
また、その際、労災も申請することになるでしょうが、労災保険によって国から補償されるのは最低限の範囲です。死亡の全損害が補償されるわけではないのです。その点を誤解することなく、会社に対しても、また別の賠償を請求することを忘れてはなりません。
――冒頭でも述べた通り、過労死の損害賠償請求は、非常に困難です。業務内容・職場環境と死の因果関係を会社に認めさせることから、ご遺族の精神には耐えられないほどの難しさがあります。その分野に強い弁護士に依頼することが、何より先決となるでしょう。
まとめ
- 過労死の損害賠償は会社に対して請求できるが、因果関係を認めさせることは難しい。
- 過労死の問題は、その分野に強い弁護士に相談して解決を目指す。
- 「安全配慮義務違反」の損害賠償責任ができるのは10年まで。