会社に対して残業代を請求する際は、段階として3ステップあります。次の通りです。
まずは「和解交渉」から
最初のステップとしては、和解交渉。つまり、裁判外の、話し合いでの請求を試みます。
具体的には、会社に対して、未払い賃金の支払い――この場合では「残業代」の支払いを要求する旨、内容証明郵便で通知します。対して、会社もその要求を受け入れ、すんなりと支払ってくれれば、和解成立です。
あるいは、要求した満額とはいかなくても、会社から妥当な和解額が提示され、それに対して労働者側も納得すれば、会社から任意の支払いを受けて和解成立です。
和解できなければ「労働審判」へ
裁判外での解決ができなかった場合には、労働審判を申立てることが考えられます。
この方法では、労働審判委員会が事件を審理し、会社と労働者の双方の言い分を聞いて調停を試みます。労働審判は、原則として3回以内の期日で審理が終わることになります。
労働審判を申立てると、申立てた日から40日以内に、まず第一回期日が指定されます。その日には出頭し、裁判官などに対して、残業代支払いを求める旨、その経緯などから詳しく説明していきます。もちろん、この段階でも、弁護士が代理人として間に入れます。
調停が不成立となった場合には、裁判官による審判が下されます。それに異議申し立てがなければ、審判の主文の権利関係が確定。異議申し立てがあれば、訴訟へと移行していきます。
「訴訟」で最終決着
労働審判でも会社側と労働者の間で調停が成立せず、審判に対して異議が申し立てられると、最終段階として通常訴訟の手続きへと移行します。労働審判を経ての訴訟となると証拠も出揃っているので、あまり長期化せず、早い段階で決着がつくことが多いようです。
――しかし、残業代請求の事案で、訴訟にまで至ることはあまり多くありません。会社としても「大事にしたくない」という思いがあるでしょうから、どこかの段階で和解に至るのが一般的です(とはいえ、もちろん、裁判になることもそれなりにはあるのですが…)。
まとめ
- 残業代請求には、「和解交渉」「労働審判」「訴訟」の三段階がある。
- 裁判外での話し合い、「和解交渉」で解決できればそれが最善。
- 裁判外での話し合いで解決できなければ、「労働審判」で調停の成立を目指す。
- 「労働審判」でも解決できなければ、「訴訟」を起こすことも考えられる。