残業代は、「実労働時間」を基準として計算していきます。なかなか複雑な計算になるので、詳しくは弁護士に相談することをお勧めしますが――ざっと言うと次の通りです。
残業代の算定式
残業代は、「基本額の25%割増」を請求できます。
これを基本として、午後10時~翌日5時までの「深夜労働」については、割増率50%で請求できます。また、「休日労働」では、残業とは別に基本額の35%割増で請求できます。
もし、時間外労働と深夜労働、休日出勤が重なる場合では、どうなるのでしょうか。
「時間外労働と深夜労働が重なる」場合は、割増率50%以上です。「休日労働と深夜労働が重なる」場合は、割増率60%以上。ただし、休日労働として時間外労働(残業)をした場合には、休日労働の規制のみが適用され、8時間を超えても深夜にならない限り割増率は35%とされています。――この通り、条件ごとに複雑なので、詳しくは弁護士に相談を。
また、弁護士に依頼して詳しく計算していく際にも、「どれくらい残業したか」「それが深夜労働であったか」「休日労働であったか」などといった点は、はっきりしていなくてはなりません。さらにそれが本人の「記憶」だけでは証拠になりえないので、どれくらい残業したかは細かくメモを取っておきましょう。もちろん、給料明細なども必要とされます。
このような細かい数字の話になると「何だかよくわからない…」となって腰が引けてしまうかもしれませんが、証拠さえ集めておけば、後は弁護士がすべてを計算してくれます。
残業させられること自体、苦痛ですが、その対価をもらえないことはもっと苦痛です。「サービス残業」で精神的に追い詰められる前に、証拠を集めて弁護士に相談してください。
残業代の算定に特別な配慮が必要となるケース
変形労働時間制、裁量労働制、また事業場外労働のみなし制――会社でこれらが採用されている場合には、残業代の算定もより複雑となります。こうなると、やはり個人で正しく算定するのは尚困難となるので、どうしても法のプロの助けが必要となってくるでしょう。
まとめ
- 残業代は「基本額の25%割増」で請求できる。
- 「深夜労働」については、基本額から割増率50%で請求できる。
- 「休日労働」では、残業とは別に基本額の35%割増で請求できる。
- 個々のケースで残業代の算定は複雑化するので、わからない場合は弁護士に相談を。