パワハラ事案ももちろん、弁護士が力になれる領域です。一人で悩まず相談されることをおすすめします。定義があいまいな「パワハラ」ですが、たとえば、「飲み会への参加を拒んだらクビ」というような“強制”は、パワハラとして認定される可能性があります。
「パワハラ」とは何か
上司がその立場を利用し、部下に対し無茶苦茶な要求をし、それに従わない場合には降格させたり、不利益な配置転換をさせたり、減給、解雇するといった行為を「パワハラ」と言います。
セクハラと同様、パワハラを受けた場合には、人事部などにその相談窓口があれば相談しに行けばいいのですが――なかなか、それもしにくいという状況だったり、そのような窓口自体が存在しなかったり、ということも多いでしょう。それならば、我慢せずに弁護士に相談してください。弁護士が一緒になって苦情を申立てれば、会社としてもいい加減な対応はできません。
「会社で働くというのはこういうことなんだ」と忍耐強くパワハラを我慢している人もいることと思いますが、一般的な「指導」の範疇を超えたパワハラの結果として、精神的に追い詰められてうつ病になったり、最悪の場合は自殺したり…そのような深刻なケースもあります。「もう限界だ」と感じたら、とにかく逃げて、弁護士に相談してみてください。
パワハラをやめさせるには弁護士を通じて会社に苦情を申し立てる
強権的な上司のパワハラ行為をやめさせることは簡単です。「弁護士に依頼して、会社に苦情を申し立てる」――これだけです。大体の場合、弁護士が出てきた時点で会社としても適当に聞き流すことができなくなり、パワハラ行為を繰り返す人物に対して厳重注意を行います。また、裁判にして、パワハラ行為をやめさせる仮処分を求めることも可能です。
当該のパワハラが法に触れるかどうかはともかく、弁護士がひとこと言うだけで効果は大きいですが、以下の三点を争点に、パワハラは違法ともなり、損害賠償も請求できます。
- その業務命令などが、業務遂行上の必要性に基づいてなされたものか
- その命令などを行った上司に、不当な動機や目的はなかったか
- その命令によって部下が受けた不利益が一般的な範囲を著しく超えていないか
たとえば、上司が部下の失敗を指摘して、注意・叱責を与えることは、一般的に業務を遂行する上で必要なことなので問題にはなりません。しかし、それも度を越えてしつこく叱責を繰り返したり、また人格まで否定するような発言があれば、違法になると言えます。
執拗なパワハラ被害に悩まされている場合は、損害賠償請求を前提として、メモ・録音などで被害の証拠を残しておきましょう。弁護士に相談した後の流れも、そういった証拠があればスムーズです。しかし、とにかく精神的に「限界」が近いなら、まず職場や上司から逃げることです。後は弁護士と一緒に、どのような対策を取るか考えていきましょう。
まとめ
- 上司が立場を利用して部下に無理な要求を迫ることなどを「パワハラ」と言う。
- パワハラの被害を受けたら、弁護士に相談して、代わりに苦情を申し立ててもらおう。
- パワハラが違法行為である場合は、損害賠償も請求できる。