参照元: 給料の未払いがあるのに会社が倒産しました|みどり総合法律事務所
困難ではありますが、不可能ではありません。倒産した会社から未払いの賃金を回収するためには、公的救済措置の「未払賃金立替払制度」を利用する方法が考えられます。
目次
「未払賃金立替払制度」とは
- 会社が法律上の倒産に至った
- 代表取締役が姿をくらまし、労働基準監督署が、事実上会社の倒産を認めた
これらいずれかの場合、労働者に対して事業者から給料が支払われないときに、政府がその一部を立て替えて支払う制度のことを「未払賃金立替制度」と言います。いずれの場合もこの制度の利用については、賃金台帳、タイムカードなど、給与が支払われていないことを証明する資料が必要となり、手続きも煩瑣なので、弁護士など専門家に依頼する方がいいでしょう。
「未払賃金立替制度」で支払われる額
さて、この制度を利用して支払われる金額についてですが、これは、原則として「未払い賃金の80%」とされています。しかし、これを前提に、退職者の年齢によってその「上限額」も定められており、具体的には――30歳未満の場合は88万円、30歳以上45歳未満の場合は176万円、45歳以上の場合は296万円まで、となっています。また、「未払賃金立替払制度」の利用に関しては、退職した日から「半年以内」に申請しなければなりません。
その他の方法で倒産した会社から未払い賃金を取り立てる
倒産した会社から未払いの賃金を請求する方法としては、その他、「仮差し押さえ」または「先取特権に基づく差押え」があります。いずれの場合も、裁判所で手続きを行うことになるので、やはり、非常に煩瑣です。専門家である弁護士に依頼した方がいいでしょう。
「仮差し押さえ」
会社の資産を保全する措置のこと。その中から従業員に対し未払い賃金を支払わせます。
「先取特権に基づく差押え」
給料の最後の六か月分については、会社の債権者や取引銀用よりも優先して、その財産から回収できる制度のこと――これを「先取特権」と言います。ただし先取特権に基づいて差押え命令が裁判所から出るまでには、3~4日の時間がかかります。対して、仮差し押さえはその日のうちに命令が出ることもあるので、先にその申立てをした方がいいでしょう。
まとめ
- 倒産した会社から賃金を取り立てる方法としては「未払賃金立替制度」がある。
- 「未払賃金立替制度」とは、事業者に代わって、政府が未払い賃金を立て替えること。
- その他「仮差し押さえ」「先取特権に基づく差押え」により未払い賃金が請求できる。