Q. 会社から何度も「辞めてくれないか」と言われていて、精神的に辛いです。慰謝料を取ることはできるでしょうか?
A. 結論からいえば、執拗な退職勧奨を理由として慰謝料を取ることは難しいです。
退職勧奨は慰謝料請求の対象となる「不法行為」ではない
使用者が労働者に対して「辞めてくれないか」と言う退職勧奨は、正当な理由のない一方的な解雇通知というわけではなく、あくまで双方の合意に基づいての契約解除を勧める行為です。それをどのように判断するかは労働者の意思にゆだねられています。よって、退職勧奨は、それだけで反社会的な不法行為ではなく、損害賠償の対象ともなりえません。
執拗な退職勧奨への対応
ただし、使用者が社会的な相当性を逸脱して、退職を半ば強制するような方法で勧奨してくる、またそれが何度も繰り返されるという場合には、「違法」と判断される可能性もあります。退職勧奨に対し、明確に拒否しているにも関わらず、何度も「辞めてくれないか」と言われる場合には、その証拠を音声記録として残して、弁護士に相談してみましょう。
「辞めない」という明確な意思表示が大切
何度も退職勧奨を受けて、精神的に参ってしまったとしても、それを理由として慰謝料を取るのは容易ではありません。「慰謝料で解決しよう」という考え方は保留して、そのような状況が続く場合には、一度正式に「退職しないという気持ちは変わらない」「退職勧奨のための面談には応じない」ということをはっきりと会社に伝えておくことが賢明でしょう。あるいは、弁護士を通して抗議してもらえば、以後そのようなこともなくなるはずです。
とはいえ、「辞めてくれないか」と何度も言われること自体、相談者様の仰る通り、相当な精神的な苦痛となるに違いありません。そんな会社にずっと居座って働き続けるのは、気持ちとしてきついはずです。よって、どこかの時点で「もうこれ以上は働けない」と思ったときには、会社都合の解雇に応じる形にしてもらって退職し、またその上で転職までの生活費を賃金として請求する、という方法に切り替えた方が賢明かもしれません。そのようなケースでも弁護士は力になれるので、一人で抱え込まずに、話をしてみてください。
まとめ
- 退職勧奨を理由として慰謝料を請求することは難しい。
- 執拗な退職勧奨は違法となり得るので、どう対応するか弁護士に相談するべき。
- 何度も「辞めないか」と言われる場合には、退職金と転職までの生活費を請求して辞めるという方法も検討すべき。