参照元: どんな場合に補助制度を利用するといいですか|京都はるか法律事務所
補助制度は、判断能力が十分でない方のための成年後見制度の一種です。
本人の希望がなければ補助は利用できない
判断能力が十分ではないとはいえ、一定にはあるわけですから、補助制度は本人の希望なく利用することはできません。ご両親や関係者が心配して、補助制度を受けてほしいと言っても、本人がそれに同意しない限り、利用はできないのです。
また、補助制度の利用が始まっても、補助人にできるのは、保佐制度の場合に法律が定めている「重要な法律的行為」の一部に関して、助言・提案をしたりすること、に留まります。もし何か契約などを代理するにしても、補助人はやはり、ご本人の同意を取らなければなりません。
補助制度の利用を検討すべきケース
たとえば、ご本人が軽度の認知症の場合――家族が家を空けている間に、セールスにやってきた訪問販売業者から必要のない高額なものを売りつけられ、家族も本人も、「また同じことが繰り返されるのではないか」と頭を悩ませているというケースでは、本人の同意のもと、補助制度の利用を始めることが考えられます。「補助人の同意なく五万円以上の買い物をできない」などの約束を定めて。そうしておけば、もし、再び同じようなことが起こっても、補助人が後から契約を取り消すことができるようになります。
こうして補助制度の利用を開始すると、あらかじめ決めた一定の法律的行為に関して、補助人の同意・代理を必要とする形で、ご本人が不利な契約を結ばされたりするという危険から身を守ることができます。
ただし、お金のことはまた別です。財産全般の管理について、補助人が代わりにすることはできません。また、あらかじめ決めていない法律的行為に関しては、本人が自由に選択できるという状態のまま、となります。
よって、補助制度の利用を検討すべき状況としては――認知症、知的障害、また精神障害や意識障害が比較的軽度で、お金の管理も、ほとんどの法的行為をすることの心配もないけれども、一定のことに関して本人の意思だけに任せるのには不安がある、という場合です。具体的なことに関しては、弁護士にも相談しながら、よく考えるといいでしょう。
まとめ
- 判断能力が十分とはいえない方のために、成年後見制度の一種に「補助」がある。
- 本人の意思がある場合に限って、補助制度は利用できる。
- 軽度の認知症、知的障害、精神障害、意識障害の方は、補助制度の利用を検討すべき。