参照元: どんな場合に保佐制度を利用するといいですか|京都はるか法律事務所
「保佐」とは、判断能力が著しく不十分な方のために用意された後見制度の一部です。
保佐制度を使うべき状況
実際に保佐制度がよく利用されるのは、認知症や知的障害・精神障害・意識障害が中程度の場合です。財産の管理についてはひとまず心配はなさそうだけれど、法律的な行為(様々な意味での「契約」)を一人でするのは危険かもしれないという方については、保佐制度の利用を検討すると良いでしょう。
保佐制度を利用できるかどうか、また「すべきかどうか」という点は、このような案件に慣れた弁護士に相談してみることをおすすめします。
保佐制度を利用するとどうなるのか
判断能力が一切ないとは言えないにしても、それに近い「著しく不十分な状態」では、実際には社会生活では多くのリスクを負うことになります。よって、保佐制度を利用することになると、家裁の選んだ保佐人の同意なく、「重要な法律的行為」はできなくなります。
ここで言う「重要な法律的行為」とは、次の通りです。
- 元本の領収または利用
- 借財または保証
- 不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為
- 訴訟行為
- 贈与、和解または仲裁合意
- 相続の承認・放棄または遺産分割
- 贈与の申込み拒絶、遺贈の放棄、負担付贈与の申し込みの承認、負担付贈与の承認
- 新築、改装、増築または大修繕をする契約
- 602条に定められた期間を超える長期間の賃貸借
民法13条1項に、このような記載があります。また、それとは別に、家庭裁判所が保佐人の同意が必要であると決めた行為に関しては、やはり保佐人の同意なく決定できません。
――このように、保佐制度の利用を始めると、多くのことをご本人の意思ではできなくなります。しかしそれは反面、十分な判断能力を持たないご本人が、ご自身に不利な状況を招かないための予防ともなります。他方、財産の管理については、その全般を保佐人が行うことはできません。お金や換金性のある財産の処分については、本人の判断が求められます。
まとめ
- 保佐制度は、中程度の認知症、知的障害、精神障害がある方が利用できる。
- 保佐制度の利用を開始すると、「重要な法律的行為」は本人の意思ではできなくなる。
- 家庭裁判所で選ばれた保佐人は、本人の代わりに生活・健康維持のための監護を行う。
- 保佐人は、財産の管理全般までは本人の代わりに行うことができない。