後見人・保佐人・補助人、それぞれの職務の範囲は異なります。順に説明しましょう。
後見人の職務は「身上監護」と「財産管理」
後見人は、被後見人の「身上監護」と「財産管理」に関する職務を負います。
「身上監護」とは、噛み砕いていえば、本人の生活や健康管理のために必要とされることをする、というものです。具体的には、介護・治療の手配を、本人の代わりに行います。
「財産管理」とは、言葉の通りです。本人に代わって、お金の管理を行います。財産を調査して、後見人は一ヶ月以内に財産目録を作成し、管理に必要な予定金額を決定します。
そして後見人はまた、その職務内容について、1~2年毎に家裁に報告する義務を負います。
保佐人の職務の範囲について
保佐人も後見人と同様、ご本人の身上監護と財産管理を行いますが、範囲は異なります。
身上監護といっても、本人の生活・健康のために必要と思われる治療・介護を被保佐人に対して「勧める」「同意する」ことが職務となります。家裁が認めた場合には、本人に代わって契約することも可能です。財産管理についても、保佐人は「助言」「同意」を与えるにとどまります。ただしそれも家裁が認めた場合には、保佐人は一定の代理権を持ちます。
保佐人もまた、職務内容について、1~2年毎に家庭裁判所に報告しなければなりません。
補助人の職務の範囲について
補助人も保佐人とほとんど同様の職務を負います。
まずは身上監護、本人に必要とされる介護・治療を勧めたり、提案したりします。家裁が認めれば、代理で生活・健康のための契約を締結できます。財産管理も同様に、同意・助言を与える職務を負います。これも家裁が認めれば、一部、補助人は代理権を持ちます。
補助人もまた、職務内容について、1~2年毎に家庭裁判所に報告しなければなりません。
成年後見人の報酬はどうやって決められる?
上のような職務を負う代わりに、後見人は報酬を得ます。その額については、家庭裁判所が個別の事情を考慮して決定します。報酬は、被後見人の財産の中から支払われます。
まとめ
- 後見人は、「身上監護」と「財産管理」の義務、代理権を持つ。
- 保佐人は、「身上監護」「財産管理」について、助言・同意などを行う。
- 補助人は、「身上監護」「財産管理」を勧めたり、提案したりする。
- 保佐人、補助人は家裁が認めれば、本人に代わり生活・健康のための契約を代理で締結できる。また同様に、家裁が認めれば、財産管理についても、一部の代理権を持つ。
- 後見人の報酬は、被後見人の財産から支払われる。