債務者が債務整理を弁護士に依頼したとなると、貸しているお金が丸々回収できる可能性は非常に低くなります。回収できたとしても、全額のごく一部となることが多いです。
しかし、完全に諦めることもありません。たとえば、相手が自己破産すると告知してから実際に手続きが始まるまでには、ある程度の時間がかかります。それまでの間に、債権の一部は回収できるかもしれません。弁護士に依頼して、ぎりぎりまで粘ってみましょう。
債務者が「自己破産」手続きをするとどうなるのか
お金を貸している相手が自己破産の手続きを行った場合、債権者であるあなたには、その旨を記載した通知が届きます。こちらの対応としては、債権届の提出が必要とされます。
債権届を出すと、相手に財産がある場合、管財人によって換金されたそのお金が、基本的にすべての債権者に按分で返済されます。しかし、相手に一切の財産がない場合、お金を返済させることは困難です。もし破産の前に、債務者と訴訟をしている場合も、その訴訟は中断されることになってしまいます。
債務者が「個人再生」を行うとどうなるのか
これも自己破産同様、相手が個人再生の手続きを行うと、その通知が届くので、債権者は債権届を提出します。裁判所が再生手続きを認めると、返してもらえる額は小さくなりますが、その分は確実に返済させるために、必ず債権届は出さなければなりません。
債務者が個人再生の前に訴訟を起こしていた場合には、破産のケースとは異なり、訴訟は中断せず続けることができます。
債務者が「任意整理」をするとどうなるのか
お金を貸している相手が「任意整理」の手続きをすると、裁判にはならず、大体は相手の依頼した弁護士が出てきて、「なんとか借金を減らしてもらえないか」と交渉してきます。
これに応じるか応じないかは債権者の考え次第ですが、警戒しなければならないのは、相手が途中から破産や民事再生などの法的整理に切り替える可能性です。そうなると、どうしても回収できるお金は少額になるので、すげなく「できない」と言うのではなく、相手の負債総額、財産状況等によっては、あるいは和解を検討してみるべきかもしれません。
まとめ
- 債務者が債務整理を申し出てきたら、少しでも多くのお金を返済させるため、こちらも弁護士への依頼を考える。
- 自己破産の場合は、相手に財産がある場合、多少のお金が戻ってくることがある。
- 個人再生の場合、返してもらえる額は小さくなるが、返済は続けさせられる。
- 任意整理の場合は、弁護士との交渉になる。こちらに良い条件ならば、和解を受け入れた方がいいこともある。