任意整理とは、借金について、裁判所を利用せず、借りている人(その代理人としての弁護士)が債権者と直接交渉して、和解しようとする手続きのことです。利息を減らせないか、元金を減らせないか、など、債権者に対しいろいろと話して、和解を目指します。
もし話がまとまれば、原則として3年間、その交渉のもとに決まった金額を毎月返済していくことになります。ただし、債権者が和解を受け入れない場合も、もちろんあります。
目次
任意整理の選択基準
どのような状況でなら、任意整理という方法が現実的か。
上の通り、原則、3年間での返済となるので、引き直し計算した金額を36で割って、それが実際に毎月返済できる額であれば、任意整理による債務整理が現実的に考えられます。
債権者との話し合い次第では返済期間を3年以上に延ばせる可能性もありますが、どうしても任意整理で返済計画が立たないときには、自己破産や民事再生を検討すべきでしょう。
任意整理のメリット・デメリット
債務整理の方法は3つありますが、その中でも任意整理を選ぶメリットには、次の5つがあります。またデメリットも2つあるので、弁護士と相談しながら慎重に考えましょう。
メリット
自己破産ほど恐ろしくない
実際、自己破産をしてもほとんど日常生活は変わらなかったりするのですが…多くの方は破産に対して「究極手段」という、ネガティブなイメージを持っているようです。任意整理なら、そこまで恐ろしくはないでしょう。意識の上でのハードルが低い方法です。
法律的なデメリットを避けられる
任意整理の場合、自己破産と違い、破産者情報が官報に掲載されることはありません。また職業、資格試験受験の制約もなし。返済期間中も、お金のある範囲で自由が利きます。
債権者を選んで返済できる
どこから借りているお金に関して整理したいのか、自分で選ぶことができるのも任意整理のメリットでしょう。残債のある家や車などを残したい場合は、そこは債権者から除外すれば、引き渡す必要はありません。
借金を減らせるかもしれない
引き直し計算によって、借金が減る可能性もあります。
裁判所に行く必要なし
任意整理の場合、自己破産や民事再生と違って、裁判所に行く必要がありません。
デメリット
和解交渉に時間がかかる可能性が高い
お金を貸している方としては、何としても利息分も含めて全額払ってもらいたいと考えているはずなので、和解交渉には時間がかかる可能性が高いです。
借金が大幅に減ることはない
任意整理は、法律の力で借金を強制的に減らす手続きではありません。あくまでも「減らしてください」と債権者に頼みにいくという方法なので、大幅な減額は期待できません。
まとめ
- 任意整理とは、裁判所を通さず、債権者と借金減額などの交渉をすること。
- 引き直し計算した額を3年間で返済できるなら、任意整理は現実的な方法と言える。
- 任意整理にはメリットも多いが、交渉に時間がかかり、また借金の大幅な減額もあまり望めない。