参照元: 千葉県の弁護士 みどり総合法律事務所(千葉市中央区)
刑事事件を起こして逮捕された場合、成人も少年も、起訴されるまでは「勾留」という身柄拘束をされます。期間は原則10日間(場合によっては10日間以内の延長)。勾留されると、警察の留置場に収容されます。少年(20歳未満の男女。女子の場合も「少年」)の場合は少年鑑別所に入れられることもありますが、多くのケースでは、成人と同様に警察の留置場に収容されることになります。
すべての少年事件は家裁に送致される
成人が刑事事件を犯すと、逮捕、勾留という段階を経て、起訴・不起訴が決まり、起訴されることになると裁判を受ける、というのが一般的な流れです。少年事件では、そこが少し違います。少年事件のすべては検察官から家庭裁判所に送致され、そこで、家庭裁判所の審判を受けることになるのです。
「少年審判」とはどのような裁判なのか
家庭裁判所が少年の処分を決めるために行う裁判を、「少年審判」といいます。
審判では、次のようなことが確認されることになります。
- 本当に罪を犯したのかどうか。
- 今後も犯罪に手を染める可能性があるか。
- 有罪の場合、本人の反省態度はどうか。
- 少年の家庭環境はどうか。
もちろん犯罪の事実がなければ何の処分も受けません。また、罪を犯したという事実があっても、それが比較的軽微であったり、本人もよく反省していて、家庭環境も悪くないという場合には、処分はありません。つまり審判で「不処分」が決定することになります。
ただし、それなりに重い犯罪事実があり、また再犯の可能性も低くなく、あるいは少年の健全育成のためには性格矯正、環境の調整が必要と考えられる場合には、「少年院送致」や「保護観察」、「児童自立支援施設等送致」といった処分が決定されることもあります。
また、多くはありませんが、少年の犯罪が非常に重大である場合(殺人、強盗致傷、傷害致死事件など)――少年でも成人と同じ刑事裁判にかけなければならないと家庭裁判所が判断すれば、事件を再び検察官に戻すという「逆送」の処分が決定されることもあります。
まとめ
- 少年事件でも、罪を犯した者は逮捕後、成人事件と同様、警察の留置所に勾留される。
- 少年事件は、すべてが家庭裁判所に送致される。
- 家庭裁判所では、犯罪事実の確認や、本人の反省態度、家庭環境などが調査される。
- 少年事件の審判では、「不処分」「少年院送致」「保護観察」などの処分が決定される。
- 重大事件の場合には、少年の犯した罪も、成人と同様に刑事裁判にかけられる。