参照元: 公判前整理手続きとは何ですか - 千葉県で法律相談なら みどり総合法律事務所
「公判前整理手続」(こうはんぜんせいりてつづき)とは、公判が始まる前に、事件の争点について絞り込む手続のことです。裁判員制度が始まる前に、2005年の11月に改正刑事訴訟法施行によって導入されました。裁判員裁判の対象となる事件では、そのすべてがこの手続を踏んでからの審理という流れになります。
なぜ「公判前整理手続」が行われるのか
公判前整理手続は、重大な事件や複雑な事実関係を持つ事件の裁判をする前に、その充実と迅速化のために、あらかじめ事件の概要を確認するという目的で行われます。
第一回公判の前に、事件の争点が、検察側、弁護側、そして裁判官をまじえて確認されるのです。公判前整理手続においては、以下のような点において、事件が整理されます。
- 訴因や罰条を明確にする。
- 事件の争点について確認する。
- 証拠調べの決定、または却下。証拠の取り調べの順序などを決める。
- 被害者参加についての確認。
- 公判期日を決める。その変更や、手続きの進行について必要な事項を決める。
――など。これらの手続を経て検察側と弁護側は主張をまとめ、審理の計画を立てます。
公判前整理手続について、公開・非公開という定めはありませんが、非公開で行われるのが慣わしです。公判前整理手続には、被告人も参加することができます。ただし、公判前整理手続は、必ずしも弁護士を必要とする事件でなくても、弁護人が選任されていなければ行うことができません。
弁護側にとっての公判前整理手続のメリット・デメリット
被告人を弁護する弁護側にとって、事件が公判前整理手続に付されることには、ある大きなメリットがあります。それは、公判前に検察側の主張や証拠について把握することができる、という点です。相手の出方が分かっていると、弁護側は弁護がしやすくなります。
また、弁護側だけでなく、裁判に関与するすべての者にも、事件の争点がはっきりとすることで審理が充実するという点もメリットと言えます。
ただし、公判前整理手続が行われると、その後では新しい証拠の請求が制限されることから、被告人側が不利になることもないではありません。
まとめ
- 「公判前整理手続」とは、裁判が始まる前に、弁護側、検察官、裁判官で、事件の争点を確認すること。
- 公判前整理手続に付されると、検察側の主張や証拠が把握できるため、弁護側には有利となる。ただし、手続の終了後は新たな証拠の請求ができないというデメリットもある。