まずは、契約以前の段階で、取引先の信用調査は必須でしょう。要するに「信頼できる会社か(個人か)」といったところを確認しなければなりません。
所在地、電話番号、責任者は誰か、経営状況はどうか――など、具体的なことを知らずに取引をすると、商品を提供した後で、そのまま音信不通ということもあり得ます。
怪しいと思ったら掛け売りは避け、なるべく先払いで取引できないかどうかも、相手側に対して打診してみるべきです。
「売掛金回収」=「債権回収」
さて、具体的に売掛金回収について話を移していきます。
売掛金回収とは、法律上は「債権回収」と言います。多くの会社では、取引先に商品を売る度に請求書を作っていたのでは煩瑣なので、大体は「末締め翌月末払い」などの取引条件を定めて、売掛金の支払いを受けるのが通常です。ゆえに、企業にとって売掛金、すなわち債権回収は、当たり前のようですが、経営上の最重要課題。もし商品を持ち逃げされたりした場合には大変です。特に大きなお金が動く取引の場合には注意が必要でしょう。
売掛金回収のためには「担保」を取る
冒頭にも述べた通り、第一に大事なのは、相手方の信用調査です。
第二には、債権回収が滞ったり、相手がもし返済不能という事態に陥ったときの備えとして、あらかじめ売掛金に相当する担保を取っておくことも重要です。担保にもいくつかの種類がありますが、まずは「人的担保」、すなわち相手方の誰かを連帯保証人にしてしまうことです。あるいは土地に抵当権を設定して「物的担保」を取ることも方法の1つです。
売掛金を確実に回収ための方法
「売掛金を回収できないときには、どのような方法で回収すればいいのでしょうか?」でも詳細に触れていますが、売掛金にはその種類ごとに消滅時効があり、原則それを過ぎると回収ができなくなります。それまでに尽くすべき手は尽くし、必ずお金は回収しなければなりません。回収不能に陥る前に、次のような方法を試していきましょう。
まずは、督促の書類を出すことです。売掛金の支払いが滞り始めたら、督促状を出しましょう。それでも相手が応じない場合には、内容証明郵便を送付し、プレッシャーを与えます。それから、調停、訴訟の準備。問題の売掛金が少額なら、少額訴訟も考慮します。
また訴訟に入る前に、前もって、仮差押や仮処分などの保全手続きをした方が良い場合もあります。相手が故意に財産を隠したり、費消したりしないための保全手続きです。弁護士に相談しながら裁判を進め、勝訴を得れば、判決に基づいて「強制執行」が可能です。
ただし、相手方の債務者に破産されてしまうと、その時点で売掛金の回収はほとんど不可能となるので、スピードも重要です。支払いが滞り始めたら、早めに対応してください。
まとめ
- 取引の前に、必ず相手が信頼できる相手か、信用調査を行う。
- 不安な取引の場合には、人的担保、物的担保を取って備える。
- 売掛金回収のために督促状の送付、内容証明郵便の送付を行う。
- 弁護士にも相談しながら、調停、訴訟の準備。
- 仮差押、仮処分など「保全手続き」も忘れず行う。
- 消滅時効、破産に備えて早めの対応を。